貧乏お嬢様と執事君!



「………警察には?」


『………貴方、それ本気で言ってる?』


まじめな意見が飛び交う知りあうムードの中に、突拍子もない意見を出した馬鹿を冷笑するように椿野は言った。


『貴方が沙良を本当の家に帰してあげたいと思ってるんじゃなくて?』


もし警察に連絡したら快く捜査が開始されるだろう。


だが享一郎の印象に悪く響かないと断言できる場合だ。


フラフラしていて執事の目をかいくぐるお嬢様など、さすがに享一郎も良くは思わないはずだ。


人に迷惑をかけることなかれ、というのが教訓に入っている。


確かにわかっている。だが現下でそんなこと言っていられる状況ではない。


「確かにそうですけど………お嬢様の安全が第一です」


『お嬢様ぁ?あんた由姫華様の執事のくせにそんなこと言っていいのかしらね』


ねっとりからむように椿野は鼻で笑った。