カイトは寒々しい思いで廊下を歩いていた。
最近鷹司に会っていないし、由姫華の機嫌も格段に悪い。
いつ爆発するかわからない爆弾のそばにいるのは神経を使うのだ。
しかしこの胃の痛みが過去の浅はかな自分へと罰だと思うと、軽い気がした。
過去にとらわれ己の思いを消してまでここに来たのは、今思えば間違いだったのかもしれない。
いまさら悔やんでも何も変わらないのだが。
すべてはかつての自分の償いと愛してやまないお嬢様のため。
そう思うと幾分か気分が晴れやかになった。
春休みが終われば無事鷹司は家族のもとへと帰れるのだ。きっと由姫華が交渉してくれる。
自分がしがみついている約束が、もろい基盤の上に成り立っていることをカイトは知らなかった。


