ずいぶんと前の生活がしみ込んでるわね、と解釈した。
姉のころは洗濯や買い物、料理などの家事を徹底的にこなしていたようだ。
能力の高さは昔から変わらないが、臨機応変というのがこの執事にはない。
連れてこられた子犬がしばらく新しい飼い主をおびえるように、カイトもこの暮らしにはなじんでいない。
当然だろう、と由姫華は紅茶とともにその疑問を飲み込んだ。
突然何もしなくていいといわれても習慣性がそれを邪魔する。
根強くしみついたシミがなかなか取れないのと同じようなものだ。
まあ時期になれるだろう、とクッキーをかじり気を紛らわせた。
慣れてくれなければ困るのだ。
「あの由姫華様。お嬢様の移動はいつになったら………」
今日何度目かの質問が繰り返された。
これにはさすがの由姫華も眉間に大量のしわが寄った。


