未練がましいな、と苦笑しているカイトに由姫華は言った。
「なんか自分から行きたいって言いだしてね。それでよ」
自ら行ったというのは少々引っかかった。
好き好んであんな小さな家ですもうとするのだろうか、と客観的に予測する。
プライドの高そうなレンならなおのことだ。何か深い考えがあってなのか、それともただ単に一人の鷹司を思って行ってくれたのか。それなら良かったが、何らかの企みを持って行ったのほうが正しい気がする。
由姫華を焚きつけた後は鷹司まで狂わすのか。
そんなことがあれば自分は決して彼を許さないだろう。これからの動きに注意を払っておかないといけないかもしれない。
「これからカイトは私専用の執事になるのね………」
「あの由姫華様」
空想から戻ってきたカイトはまた頭を低くした。
「何かしら」
「あの、例のお話は真でございますか?」
「………何のことかしら?」


