「きちぃお嬢さんだな………それに、由姫華様に言伝があんなら自分で言いに行きな。おれにはほぼ不可能だかんな」
「?どういうこと」
しゅぼっと残り少ないガスを振り絞り、ライターから小さな炎が上がった。青から緋色へとなっていく。
細長い目で椿野を捉えた。あの椿野が眼光にひるんだ。
「おれはもう由姫華様の執事じゃねぇんだ」
「………どっどういう意味だ?」
井筒の疑問にレンは答えなかった。旨そうに煙草の煙をのんびり味わっている。鷹司が思いっきり顔をしかめた。煙が苦手なのだ。
「まんまの意味。おれ、解雇になったから」
他人事のように数秒遅れた答えを発し、腰を下ろした。3人は皆驚愕の顔を見合った。
「え………じゃああんたどうすんの?」
椿野が気遣いの態度を見せた。彼女はホームレスを見るような目つきでレンを視界にとらえている。それに気づいてレンは苦笑した。
「んな落ちぶれた武士見る見てぇな目、やめてくれ。執事としてはクビになっちゃいねぇし」
「なんでここに来たの………?」
ここにきて鷹司が口をはさんだ。膝の上で握りこぶしを作っている。


