それから数時間も経過した頃。
椿野は青いベンチに座り、ぼーと虚空を見つめている数時間だった。
目にぼんやり映るのはせっせと彼氏の家の掃除をするように空き缶と落ち葉(一人小銭)を拾い上げてるお嬢様たちの姿があった。
なんだこれ。
一人輪の中に入れない友達の椿野は静かに思う。
こんなにも学園一のお嬢様の権力と場を引っ張る力はすごいものなのか。
魚をさばいていても
「板前修業なの」
頬にべったり赤い血をつけていても信じ込んでくれそうだ。
そんなに気張らなくてもいいのかもしれないな。
凝った肩を揉みほぐしていると丁度掃除が終わったようだ。
ボランティア精神を満たし終わった少女たちは誰もが爽やかな笑顔で椿野の元へと帰ってきた。椿野はどうやら監督という位置にいつの間にか立たされているようだ。


