貧乏お嬢様と執事君!



「買占め?それは自己中心な人がするだと思われますよ?遊びに来ている方たちへの無礼です」


「庶民のことなんて知ったこっちゃないね僕は。鷹司さんだけ幸せになってくれたらそれで」


「一人の女性のことしか考えられない男というのは度量がせまいものですよ」


「いやいやそうでもない。愛する女性のことを思う男というのは実は広かったりするもんだよ」


「あんたたちはいったい何の話をしてるの」


ついに椿野は乱入していった。


いつまで立っても平行線をたどっていくこの会話に頭痛を覚えたからだ。


「沙良はどこに行きたいのかしら?」


ボーと虚空を見つめていた鷹司は我に戻ったような顔をした。


鼻の頭が赤くなっている。


「そーだね………トロッコも面白そうだけど、ちょっと寒いかなぁ」


カイトがうれしそうにほほ笑んだ。隣で井筒はがっくりと肩を落としている。


椿野はまた白い溜息を吐いた。