鷹司とそのお伴三人はぶらぶらと遊園地内をさまよった。
椿野がゲットしてきた地図を鷹司は難しい目で眺め、カイトはしずしずとそのあとに続き、鷹司の隣を井筒は偉そうに歩き、椿野は最後尾に続いていた。
「なんかおもしろそうなのないかな………」
「そろそろあたたかい紅茶でもどうでしょうか?お嬢様」
カイトが指さすのはカフェテリアとお土産品がいっしょくたになっている店。
「いやいや。そんなものは後でも行けるだろう。僕はあっちがいいね」
井筒が示すのは二人乗りの小さなトロッコ。
椿野はさっきと同じような険悪に襲われた。
案の定、カイトと井筒は同時に顔を渋くし目を通い合わせたのだ。
「貴方は本当に馬鹿ですね。外に長時間いるお嬢様のお気持ちを、考えてさしあげる器量をお持ちになったらどうですか?」
私のことは考えないのね、と椿野は思った。
「馬鹿だと?聞き捨てならないな。それに僕は当然のことを言ったまでだ。土産品など後で買い占めばすむことじゃないか」
坊っちゃん発言をした井筒を、カイトは鼻で笑った。


