「………」 「言っておくけど、私はたかがボロ遊園地の地図を買う金がないわけじゃないのよ?」 針の先をつつき、にっこりと笑う。 「地図を買う小銭がないだけよ」 「………もっもってきます」 最初からそういえばいいのよ平民、と椿野は溜息を吐く前に、従業員は管理小屋へと急いだ。 先輩にパシられている後輩みたいに。 呼びに来た井筒は声をかけることもできず、ポールの陰で体をがたがたふるわせた。