鷹司グループは大規模会社である。


その専門は車からはじまり、電機メーカー、食品会社、挙句の果てにシャープペンシルの芯などという大きいものから小さいものまでを得意とする。


もし鷹司グループがこの世から消え去れば、世界の貿易相手の半数は頭を抱えるであろうとまでささやかれている。


その大手企業グループを牛耳り、まとめているのが鷹司 享一郎。


齢60何歳もの老人が、世界を支えていた。


自分の息子を跡取りとして継がせるつもりはまだない。


享一郎自身は、人目を気にし、へこへこと自分に頭を下げる息子を好かないでいた。


そして息子が自分の座を無謀にも狙っていることが気に食わない。