「変でしたら私に構わずお使いにならなくてもよろしいかと」


「使うよ!」


鷹司はマフラーに頬ずりしながら微笑んだ。


「最近寒いと思ってたし。なによりカイトが真心こめて作ってくれたものだしね」


「おっお嬢様………」


こめたのは真心だけではないのですが………


などという無粋な言葉は引っ込めた。


よっぽどうれしかったのか自分で首に巻きつけようとする鷹司だったが、あまりマフラーを付けたことがないらしく手間取っている。


カイトはさりげなく背後にまわり、そっと白い首に巻いてあげた。


「暖かいよ」


お世辞でもなさそうに微笑する鷹司に、カイトは今年一番の喜びを得た。


外は今年最低気温を突破していたらしいが、隙間風が通る小さな一戸建ては、今年最高気温を突破していたそうだ。