料理に毛が生えたような夕食を食べ終わり、椿野から恵んでもらったケーキを食べ始めた。
久しぶりの甘味に、頬をほころばせながら口にもったいぶるように運ぶ鷹司に、カイトはやがて切り出した。
「そっそのお嬢様………」
「ん?何カイト」
一語に手をかけようとした鷹司は顔をあげた。
唇の横にクリームが付いている。
カイトはそれを指ですくい自分の口へと持っていった。
「あっついてた?ありがと!」
乙女の恥じらいを見せず、鷹司は純粋に礼を言った。
カイトは、自分がただの執事なのだ、ということを改めて痛感した。
できることなら街中を歩いていてもおかしくない関係になりたかった。
だがそれを選ぶというならこんな鷹司と過ごせる時を自らの手でゴミ箱に捨てるということだ。
カイトには選択肢をすてることもできなかった。


