「………まったく、何を考えてるのか分からない姉だわ」
権力者の座を奪われた妹を恨むこともねたむこともせず、笑顔で受け入れるなんて。
由姫華にとって考えられぬことだった。
しかしカイトは別段不思議に思ってもいないようだ。
「お嬢様は人を怨むなどいたしません。必要街の欲も持ち合わせておりませんし」
「まぁ貧乏な暮らしをしていたらそうなるでしょうね」
彼女はカイトの弁解に耳を傾けない。
「なぜあんな倉庫みたいな家に住んでるのかしら?」
「それは旦那様の手違いでして………」
「あの叔父様が?へー」
どうでもいい、というように由姫華はあくびをした。
上品な人がするとあくびも美しく見えるものだ。


