「………なんでしょうか?」
レンの目に気付いたのか、カイトがいぶかしげに顔をしかめた。
「いや。なんでもねぇよ」
「それよりカイト!私、アメリカとスイスいってたくさん勉強してきたのよ!」
土産話を貴方に話したいわ!とうきうきしながら由姫華はこぶしを握った。
レンはその後ろでばかばかしい、と吐き捨てていた。
「あっその………お嬢様を見かけませんでしたか?」
「お嬢様?ああ、貴方はあの姉の執事だったわよね」
機嫌が下がっていく彼女に、カイトは深くうなずいた。
「お会いになりましたか?」
「大講堂でね。ちらっとだけど」
彼女は考えるのもいや、というように咳払いをする。


