湧き出る怒りを抑えきれず、彼女はレンに預けていたグラスをかっさらい、椿野に投げつけるように中身をふりかけた。
ワイングラスから真っすぐ飛び散る深紅の液体。
予想だにしなかった展開に、椿野は反応できなかった。
が、観戦していた井筒は反応した。
彼女をかばうように前に出て、自らワインシャワーを浴びに移動したのだ。
ばっしゃーんっと水がはじけ、井筒のスーツに大胆にシミをつけた。
「ちょっ!」
かばわれた椿野は、肝を冷やしながら井筒に駆けよった。
「あっちゃー………マルコニーだったのに」
シミを見て、顔をしかめる井筒。


