きっと阿修羅のごとく憤慨した顔を隠すためだろう。
強い衝動を抑え込み、由姫華は美しく微笑んだ。
「それに、あんなダメな姉の名を覚えるのならば、日本の礼儀やマナーを学んだほうが得策でしてよ」
「!この………!」
逆上した椿野は、周りに目があるのにもかかわらず、由姫華に手を挙げた。
ああっと井筒が目をつぶると、パチンっと頬と手のひらが合わさった乾いた音が響いた。
「お嬢様に手をださねぇでくれっかな」
突如現れた低い声に、彼は恐る恐る目をこじ開ける。
そこには右に首を固定してる椿野と、背の高い男性が向き合っていた。
「なっなんだおまえは!今椿野さんを殴ったのか!?」
男として信じられない行為に、井筒はがなりたてた。
「あー………正当防衛ってやつじゃね?そう怒んなよ」
赤髪の男は、めんどくさそうに言い放った。


