すっと女性はむき出しになった腕を井筒に突き付けた。
井筒はその手を数秒凝視し、恐る恐る握り返した。
椿野は、女性を油断なく横眼で観察した。
化粧と雰囲気のせいで大人っぽく見えるが多分自分たちと同い年ぐらいではないか。
彼女は井筒から目を離し、椿野にニコリと微笑んだ。
「どうかさなれましたか?顔がこわばってますが」
「………すみません。お名前は何と申されましたか」
流された井筒の質問を繰り返し、椿野は胸の下で腕を組んだ。
「ああ。申し遅れました」
女性は裏のある笑顔を保ち
「鷹司 由姫華と申します」
目が笑っていなかった。


