貧乏お嬢様と執事君!



「誰だと?」


認めたくはないが井筒は成金坊ちゃんだ。


それなりに業界にも知られた井筒家の跡取りに社長夫人たちの名を知らないはずがない。


もし知らなくても


「あー彼はねぇ。僕のお父さんの妹の彼氏のお母さんと知り合いでねぇ」


と業界ウンチクを漏らすに違いない。


鷹司のあまりの美しさに認識ができなかったのか、と考えたがそれも違うらしい。


着ぐるみを着ていた鷹司に気づくほどの椿野が、首を振ったのだ。


ますます井筒が差す人物の特定が分からなくなった。


カイトは体制を立て直しつつ、椿野と井筒に近づいてきた女性に目を凝らした。


「………あっ!まさか………!」


カイトに戦慄が鋭く走った。


その人物は、カイトがよく知っている女性で、鷹司に最も合わせたくない女性でもあった。

カイトは木から飛びおり、入口へと戻って行った。