貧乏お嬢様と執事君!



視界の隅で何かが動いた。


足の甲を押さえて飛び跳ねていた井筒が、突然止まったのだ。


彼はとりつかれたように微動だにしない。


「………お嬢様のドレス姿にでも見惚れているのか?」


井筒は鷹司のことを好きだと理解してるカイトは吐き捨てた。


まぁその気持ちは分からないわけでもないが、この世でお嬢様に見惚れていいのは執事である自分だけで………


そうだとしたらやっと鷹司の支度が終わったのか。


あまりの可愛さに椿野が駆け寄るかと思っていたのだが、椿野も呆けたように動かない。


井筒がカイトに横顔を見せたまま、椿野に何かしら呟いた。


―――だ、れ――――


唇で言葉をよんだカイトは、目を細めた。