「遅かったのね沙良」 ボロ屋の前にリムジンをつかした椿野は、ファーのジャケットを着こなしていた。 暖かそうな椿野に比べ、鷹司は薄手のジャケットだけ。 「そう?カイトを置いてくるのが忍びなくてね」 ぶるぶる震えながらやせ我慢する鷹司を見つめ、椿野はため息をついた。 「言い訳はいいわ。怒ってないし。早く入って。準備時間がいるんだから」 訓練されたのようなタイミングで使用人がドアを開けた。 鷹司は物おじせず、暖房が利いているリムジンへと体を滑らした。