「落ち着きたまえブラックカール!」


「誰がブラックカールよ!」


かっと頬に血を上らせ、井筒の胸ぐらをつかんだのはもちろん椿野だ。


「………わかってるでしょうね。もしこのこと言ったらあんたの会社、全部つぶしてやるから!」


恐ろしいことを言うお嬢様である。


空気に飲まれることなく、井筒はひょうひょうと言い返した。


「昨日も言われたよ」


「………昨日?」


椿野は一瞬考え込んだようだが、すぐに該当が思い浮かんだようだ。


「………だったら余計に!」


「落ち着けって言ってるのがわからないのか?」