椿野は巻き毛を逆立てさせるほど怒鳴った。 井筒ではなく鷹司をにらんだ。 井筒は鷹司をフォローというか無実の罪から救おうと薄い唇を開けた。 「待ちたまえ!僕が勝手に付いて行ったんだ!」 「………いっ家は見たの?」 聞きたくないが聞いておかなければならない、といった風に椿野は声を震わしていた。 「上がっておせんべい食べたんだよね!」 ウキウキという鷹司に、椿野は鋭く怒った。 「沙良!」