そんな彼の元に、一人の少女が歩み寄ってくる。

少し伸びた黒髪を、今日はお馴染みのおかっぱにしている。

『龍太郎君、保健の先生におとなしくしときなさいって言われたんじゃないの?』

そんな表情を浮かべる城山 小夜(しろやま さよ)。

胸には一冊のパンフレットを抱えている。

「お?」

右腕で倒立したまま、龍太郎は小夜の顔を見る。

「小夜、何だその手に持ってるの」

『あ、これは…』

龍太郎に表紙を見せる。

『美少女二十選のパンフレット…私と龍太郎君も…べ、ベストカップル賞候補に選ばれてるんだよ…困っちゃうよね…』