「駄目ですよ!」

バンッ!と本を閉じ、黒縁眼鏡越しに雛菊を真剣に見つめる色白男子。

その視線に。

(お…)

アホの子雛菊も、ちょっとだけドキリとする。

最近、彼は時々こういう顔をするようになった。

修学旅行前までは、いじられて翻弄される小動物のようなキャラだったのに、いざ雛菊が絡む話となると、キリリと凛々しい顔をする事があるのだ。

「雛菊ちゃんがそんな危ない目に遭うんだったら、『美少女二十選』は辞退するべきじゃないでしょうかっ?」

雛菊の肩を両手で掴み、そんな事を進言する。