そんな芸人幽霊に。

「待って!」

すがるように呼びかける龍娘。

天敵とはいえ、いい女に呼び止められては去る訳にはいかない。

嗚呼、目立ちたがりモテたがりの悲しいサガ。

「初めて会ったのは夏休みの校舎…君は嫌な奴だと思ってたのに、こ、告白なんかして私のハートを鷲掴み…二回目は体育祭…カッコいい君の走りに、私のトキメキは止まらなくなって…」

両手を胸の前でキュッと結んで、目を閉じ、頬を赤らめて語る龍娘。

(うっわ、怖っ!語ってる!一人酔いしれてる!)

ドン引きする芸人幽霊。

「そして今日…」

ウットリしたように龍娘は瞳を開いた。

「私と君は、『天神学園美少女二十選・ベストカップル賞候補』にノミネートされたの…学園の皆が認める、カップルに選ばれたの…は、恥ずかしいけど嬉しいっ…きゃっ…」

「あっかぁあぁぁあぁああぁあぁあぁんっ!」

そう、それはあかん。

天神学園の美少女達をはべらせて、ハーレムを作るという芸人幽霊の野望が!