ある朝、いつものように起きて境内に行くと、一晩の間に変化してしまった物に気付いた。

「なんで?…」

聖木の葉が一枚も無かった。

今まで一度も枯れなかった木が枯れた?。

護符が剥がれている事にも気付いた。

トン!。

後ろで何かを落とした音がする。

振り向くと、じいちゃんが大きな口を開けていた。

「これはどういう事じゃ?、なぜ?」

とても驚いた顔のじいちゃんはそのまま膝をついてしまった。

「じいちゃん!」

急いでじいちゃんに近寄ると、じいちゃんの顔は真っ青だった。

「封印が解かれてしまった…」

「おい!、どうしたんだよじいちゃん!」

その後もじいちゃんは何も言わずただ聖木を見つめていた。

そんな時、急に背中が熱くなってきた。

「う、なんだよ!、これ!」

感じた事のない灼熱の熱さに耐え切れなくなり手をつく。

すると、今まで黙っていたじいちゃんが俺の肩を揺する。

「耕太!、大丈夫か?、おい、耕太!」

意識が遠ざかる。

だが、遠ざかる意識の中で、不思議な声が聞こえる。

「お前の力で取り戻せ、罪の象徴は人間に余る力、真に清らかな者よ、取り戻すのだ」