「柚子ッ!」


呼ばれたのは、あたし佐伯柚子〔さえきゆず〕。
めったに風邪をひかない元気な小学6年。


たぶんみんなからは、明るくて…ばかな奴って思われてるんじゃないかな。


そして、呼んだのは友達の樋口理音子〔ひぐちりおこ〕。


通称「理音」でおてんば。
だから、あたしと気が合うんだよね。


そんなあたしたちは小学3年から同じクラスでいつも一緒にいる。




「ん?どうしたの?なんかあった?」


「先生から聞いたんだけど、今日席替えするってさ!柚子の近くになりたいなぁ。」


非常事態かと思ったら席替えね…。


おおげさだなぁ。


でもそんな理音が大好きだからこう言っちゃうんだ。


「あたしも理音と近くがいい!」


席替えの話で盛り上がっていると、先生がきて持っていた箱を机に置き…


「よしっ!席替えをやるぞ!順番にクジひいてけー。」