人間をどのくらい信用していいんだろう。


人と関わったって良いことあるのだろうか。

人間関係とか煩わしいことばかり。


私って何のために生きてるんだろう…。


「中谷さ～ん、庶務課にお電話です。お願いしま～す。」


「はい。」


中谷 真沙美は、同じフロアーで働いている学生課の山田さん（女）の野太い声で、ハッとして答えた。


ここは、大学の事務所。


山田さんは、外見は肝っ玉母さんを彷彿とさせるが、性格は中々の毒舌で、周りを恐れさせている。しかし、その毒舌も、意外と的を得ているので、嫌われてはいないという不思議な存在でもある。


真沙美は、ついつい人の顔色を伺い、仕事を余分に頼まれても断れず、ストレスを悶々と溜めるタイプなので、山田さんの堂々とした振る舞いを常々羨ましく思っていた。