「あのタイムマシンを外から操作して、時間、空間、両方の移動を制限した。場所も時間も私にはもう分かっている。さて君たちはどうする?このまま21世紀へ帰るのなら迎えを手配しよう。私はあのFDの少女を追跡して逮捕しなければならない」
「なら、一緒に連れてけ!」
陽菜は反射的に言った。何の迷いもなかった。フーちゃんはもう陽菜の友達だ。このまま最後まで見届けずに帰る気にはなれなかった。玄野と明雄も無言で陽菜に同意した。タイムパトロールの男はあっさりとうなづいた。
「よかろう、君たちも同行させよう。ただし、少し私に合わせて芝居をしてもらうよ」
三十分ほど後、陽菜、玄野、明雄は上皇の部屋の前の廊下に下の地面にひざまずいていた。廊下ではタイムパトロールの男が上皇と言葉を交わしていた。
「お上、どうやら、あの娘は元はれっきとした人、それが妖狐に憑依されたものと思われまする」
「ヒョウイ?乗り移りであるか?」
部屋の御簾の向こうから上皇の弱々しい声がした。
「御意。どうやら供の者たちはその事を知らずにいた模様。嘘をついても陰陽師の目はたばかれません故に」
「さようであったか……」
「それにあの妖狐の居場所も既に八卦見で突き止めておりまする。力を使い果たし、その地にて再起を図っておるものかと」
「そ、それはどこじゃ?」
「は。下野(しもつけ)の国、那須野の辺りとにらんでおりまする」
「では、そなたが追手として行くと言うのじゃな」
「御意。あれほどの妖怪、陰陽師の加勢なくしては討ち取れますまい。お上、お願いの物はいかに?」
「うむ!よいであろう」
御簾の向こうから女官が廊下に出てきて大きな白い髪の包みを渡した。
「そちが院の命を受けている者である事の証しとなる印状である。持って行くがよい」
「なら、一緒に連れてけ!」
陽菜は反射的に言った。何の迷いもなかった。フーちゃんはもう陽菜の友達だ。このまま最後まで見届けずに帰る気にはなれなかった。玄野と明雄も無言で陽菜に同意した。タイムパトロールの男はあっさりとうなづいた。
「よかろう、君たちも同行させよう。ただし、少し私に合わせて芝居をしてもらうよ」
三十分ほど後、陽菜、玄野、明雄は上皇の部屋の前の廊下に下の地面にひざまずいていた。廊下ではタイムパトロールの男が上皇と言葉を交わしていた。
「お上、どうやら、あの娘は元はれっきとした人、それが妖狐に憑依されたものと思われまする」
「ヒョウイ?乗り移りであるか?」
部屋の御簾の向こうから上皇の弱々しい声がした。
「御意。どうやら供の者たちはその事を知らずにいた模様。嘘をついても陰陽師の目はたばかれません故に」
「さようであったか……」
「それにあの妖狐の居場所も既に八卦見で突き止めておりまする。力を使い果たし、その地にて再起を図っておるものかと」
「そ、それはどこじゃ?」
「は。下野(しもつけ)の国、那須野の辺りとにらんでおりまする」
「では、そなたが追手として行くと言うのじゃな」
「御意。あれほどの妖怪、陰陽師の加勢なくしては討ち取れますまい。お上、お願いの物はいかに?」
「うむ!よいであろう」
御簾の向こうから女官が廊下に出てきて大きな白い髪の包みを渡した。
「そちが院の命を受けている者である事の証しとなる印状である。持って行くがよい」



