次の瞬間、陽菜と玄野と明雄は刀と短い槍を構えた十人の武者たちにぐるりと取り囲まれた。その刃先は陽菜たちの方を向いている。武者の一人が怒鳴った。
「おのれらは、あの妖怪の連れの者であったな!お上、この場で成敗したしますか?」
陽菜は全身から血の気が引いて行くのを実感として感じていた。この連中はフーちゃんを、上皇の命を狙った妖怪だと思い込んでいる。ならば陽菜たちもその仲間だと思うのは当然だ。
「待ちなはれ。仮にもここは院のお庭。血で汚しては畏れ多い」
意外な事に陰陽師はそれを止めた。廊下から庭先の陽菜たちを順番に見つめ、そして首をかしげながら上皇に話しかける。
「妙やな。この者たちからは妖気をかけらも感じませぬ。何か仔細があるのやもしれませぬな。お上、この者たち、この阿倍泰成に取り調べさせては下さりまへんか?どこぞに蔵のような場所があれば、そこで」
上皇は無言でうなづき、武者たちに「庭の北の石蔵へ連れてゆけ」と命じた。陽菜たちは刀と槍の刃先に追い立てられて、半分地下になっている石の壁の倉庫のような場所に閉じ込められた。
十分ほどして、さっきの陰陽師が扉から入って来た。扉を外から閉めさせ、床に座り込んでいる陽菜たち三人を見下ろすように立ち、言葉を選んでいるようだった。
「さて、そちたちの……」
だが明雄が陰陽師の言葉を遮った。
「あなたは……未来人だな?」
陰陽師は扇子で顔の下半分を覆いながら驚きの声を上げる。
「な、何の事じゃ?われは陰陽寮に仕える……」
だが明雄は自分の言葉をたたみかけた。
「最初に聞いたあの音、あれは放射線探知機の音だな?なぜ、そんな物をあなたが持っている?いや、なぜ、そんな物がこの時代にある?」
「いや、あれは我が一族の秘術……」
なおもそう言い続ける陰陽師に明雄が自身ありげな表情でさらにたたみかける。
「おのれらは、あの妖怪の連れの者であったな!お上、この場で成敗したしますか?」
陽菜は全身から血の気が引いて行くのを実感として感じていた。この連中はフーちゃんを、上皇の命を狙った妖怪だと思い込んでいる。ならば陽菜たちもその仲間だと思うのは当然だ。
「待ちなはれ。仮にもここは院のお庭。血で汚しては畏れ多い」
意外な事に陰陽師はそれを止めた。廊下から庭先の陽菜たちを順番に見つめ、そして首をかしげながら上皇に話しかける。
「妙やな。この者たちからは妖気をかけらも感じませぬ。何か仔細があるのやもしれませぬな。お上、この者たち、この阿倍泰成に取り調べさせては下さりまへんか?どこぞに蔵のような場所があれば、そこで」
上皇は無言でうなづき、武者たちに「庭の北の石蔵へ連れてゆけ」と命じた。陽菜たちは刀と槍の刃先に追い立てられて、半分地下になっている石の壁の倉庫のような場所に閉じ込められた。
十分ほどして、さっきの陰陽師が扉から入って来た。扉を外から閉めさせ、床に座り込んでいる陽菜たち三人を見下ろすように立ち、言葉を選んでいるようだった。
「さて、そちたちの……」
だが明雄が陰陽師の言葉を遮った。
「あなたは……未来人だな?」
陰陽師は扇子で顔の下半分を覆いながら驚きの声を上げる。
「な、何の事じゃ?われは陰陽寮に仕える……」
だが明雄は自分の言葉をたたみかけた。
「最初に聞いたあの音、あれは放射線探知機の音だな?なぜ、そんな物をあなたが持っている?いや、なぜ、そんな物がこの時代にある?」
「いや、あれは我が一族の秘術……」
なおもそう言い続ける陰陽師に明雄が自身ありげな表情でさらにたたみかける。



