明雄が唇に指をあててシッと二人をいさめる。
「ああ、5歳で即位して二十歳で退位して上皇になっている。いや、僕も上皇なんて言うから、もっとよぼよぼのおじいさんを想像していたよ」
「え、と言う事は」
 玄野は別の意味で驚いていた。
「あの人っていうか、上皇様だっけ、あの人若く見えているんじゃなくて、老けて見えているんですか?フーちゃんが言ってたように、30代に見えますよね?」
「この時代は平均寿命が短いからね」
 明雄はタブレットPCをリュックにしまいながら答える。
「それに、陽菜のセリフじゃないが、都の貴族だってろくな物を食べていない。栄養状態も悪いから、この時代の人たちの年齢の感覚は僕らの時代、21世紀のそれに比べると5割から6割増しってところなんだろうな。21世紀の10歳はこの時代の15歳、二十歳なら30歳という風にね」