明雄がうなづきながら目配せしたのを見て、フーちゃんは帽子を脱いで金色の髪を牛車の中の人物の目にさらした。御簾に遮られてよく見えないが、牛車の中の人物はフーちゃんに直接声をかけて来た。
「娘、直答を許す。都に住まう者か?」
「い、いえ」
フーちゃんは当惑しながらも、驚くほどの機転の効いた言葉で話を取り繕った。
「さきほど都にたどり着いたばかりでございます」
「その風体、公家の者であるか?」
「公家の血を引く者でございます。訳あって東国よりまかり越しました」
「名を何と申す?」
「フー……」
さすがのフーちゃんもそこで口ごもってしまう。彼女は一瞬考えをめぐらし言葉を繋いだ。
「フジワラノ……タマモと申します」
「娘、直答を許す。都に住まう者か?」
「い、いえ」
フーちゃんは当惑しながらも、驚くほどの機転の効いた言葉で話を取り繕った。
「さきほど都にたどり着いたばかりでございます」
「その風体、公家の者であるか?」
「公家の血を引く者でございます。訳あって東国よりまかり越しました」
「名を何と申す?」
「フー……」
さすがのフーちゃんもそこで口ごもってしまう。彼女は一瞬考えをめぐらし言葉を繋いだ。
「フジワラノ……タマモと申します」



