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「本当、馬鹿だな……」
文人は足に乗せた修の頭を撫でながらそう呟いた。
口元に微かに笑みを浮かべ、愛おしげな瞳で眠る恋人の顔を見つめている。
「もっと他に、問題あるのにねぇ?」
言いながらぐりぐりと頬に指を押し付けるも、修が起きる気配は無い。
「……まあ、気づかなくていいけど」
指を頬からどけると、
顔にかかる髪をよせながら、自らの唇を修のそれに近づけていった。
と、その時。
触れる寸前に、唐突に修の目が開いた。
ぱちりと開けられた瞳は、
間近に在った文人の顔に驚いているようだ。
文人も同じく、
まさか今、起きるとは思わなかった。
けれど、その驚愕を隠すかのように、すぐに先ほどのような笑みを浮かべた。
「おはよう」
「お、はよう……?」
いまだパチクリさせている修は、
戸惑いながらも挨拶を返した。
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