「俺が行かなくても行くんだろ?」
「うん」
あたしは意志をはっきりみせるために力強く言った
「なら、俺も一緒に行く!俺だってずっと病院の中に居たんだ
気持ちわかるよ」
「山田蒼…」
二人でニッコリと笑いあう
「あのさぁ、なんで俺のことフルネームなわけ?」
「なんでかなぁーでもなんかしっくりくるよ!ダメー?」
「別になんでもいいけど」
ほんとは男の子の名前の呼び方がわからなかっただけ
山田
山田くん
蒼
蒼くん
山田っち
あっちゃん
…あだ名はないな、変
フルネームがあたし的には一番言いやすい呼び方だった
蒼って呼ぶのはちょっと馴れ馴れしいかなって思ったし…
けど、その呼び方でいても山田蒼があたしのことをやえって呼び捨てしてるのみてちょっと後悔した
「じゃあ、荷物準備しとけよ」
「うん」
「出発の日も決めろ、心の準備もいるだろ」
「…ありがと」
なんか、前から考えていたことなのに今さら緊張してきた
「ふぅ…」
変なため息がでる
「あのさ、書き置きくらい残せば?」
「え…」
「やっぱり、親のこと考えるとさ…
書いた方がいい」
「わかった」
あたしは素直に頷いた
お母さんが泣くのは目に見えていたから
突然居なくなるなんて普通ありえないし心配する
それならちゃんと説得するべきだけど…
