一週間の逃亡



「やえちゃん、もう気分は悪くないかな?」

「大丈夫!逆にすっごい気持ちいいかんじ」

「そうか…そうか…」



「先生、生きてるだけで幸せって…すごい思うよ」


「やえちゃん、そんなふうに考えられる人は少ない

やえちゃんはすごいね

僕もそう思うよ…今までいろんな患者さんを診てきたからね…」


「…先生」


先生はあたしなんかより病気の苦しさを知っているのかもしれない


命の重さをわかっているからこそ、あたしは先生に聞きたいことがあった



「…先生、あたしにはもう時間がないんでしょう?」

先生は少し驚いて、いつもの表情に戻った



「やえー」

ちょうどお母さんも部屋に入ってきた


「…何を話してたの?」

お母さんはこの雰囲気に感づいたんだろう


「先生の彼女のはなし!!」


「「え?」」

先生とお母さんの声が重なった


「あ、はい…そんな人いないって言ってるんですけど信じてくれなくて…」

先生はあたしの作った話しに合わせてくれた


「やえー!全くあんたって子は…」

呆れたように言うお母さん


よかった

こんな話、お母さんに知られたくない

もう、悲しませたくない