†††


「・・・さむ」


白い息を吐きながらポツリと呟く

癖のない黒髪を背中まで伸ばしており、雪の子と呼ばれていた。



季節は冬。チラチラと雪が舞う季節。
ここ一週間の気温は10℃以下墨汁を垂らしたような雲のように気分も暗くなる。



制服を来た私はコートをはおりマフラーを巻き防寒対策をしているのな関わらず、手袋だけはしていなかった。
真っ白な指先は寒さで赤に染まり、冷たさで感覚すら無い。


そんなことさえも気に止めずネオンが光輝き星の淡い光を奪う街中へと歩いていく。




幾分かして、空から雪が降ってきた。
チラチラと舞う雪に気づく通行人はいない。



私は立ち止まり雪を眺めていた。感情を映し出す鏡からはなにも感じずに。



「手袋貸してあげましょうか?」

決して若くはないけれど強くハッキリとした声が私を呼ぶ。
声の主を見て、近寄った。


「どうして・・・?」


声の主___老婆は微笑んだ


「貴方が冷たそうだからよ。」


__指先、とはいわず貴方、と言った老婆に眉を寄せた。