黒猫にご注意を



痛い、と小さな声で反発するが聞こえていないのか。
今度はグリグリと・・・
いやいや、だから痛いんだって。顔をしかめるが誰も不機嫌には気づかない。


「れ?船長。猫戻ったんすか。」

「あぁ。それよりもう止めてやれ。また投げ飛ばされるぞ。」


ひょいとシンの肩に乗った黒猫、アーク。シンが私の顔をのぞきこみ、豪快に笑った。


「っははは!!!すまん。すまん。」


謝っていても軽さが目立つ。
はぁ、とため息を小さくつき、コクンと頷く。


「みんな!持ち場に戻ってくれ!あとサクロ、時雨のコト頼むぞ。」


アークが指示を皆に出し、ドコかへ行った。アークを少し目で追う。無意識の内に。ぼーっとしていたら、サクロが近づき、顔の前で思いっきり手を叩いた。


___パンッ


乾いた音に驚いて目を見開いてしてサクロを見る。
サクロは微笑んで、


「じゃ、行こうか。」


優しく私の手をとってサクロは歩き出す。
一瞬体を強張らせてしまったが、すぐにサクロの後を足早にで追う。


触れられている手から感じる温かいヌクモリに心地よさ、を覚える。
こんな優しいヌクモリを与えてくれた人はいない。
初めて感じることばかりで戸惑うけれど、不思議と苦痛ではない。