黒猫にご注意を



「皆、今日からこの船に乗る時雨だ。よろしく頼むよ」


決して大きくなく、けれどよく耳に通る声。私はペコッと頭を下げ、顔を上げた。


「よろしくお願いします」


――凛とした声はアークとは違った低さで意志の強さを表している。瞳の奥に決意が現れているのは彼女の強さであり弱さである。



強面な人が沢山、睨んでくる。普通ならたじろいで、視線をずらすだろう。けれど真っ直ぐに彼らを見て逆に睨み付ける。
すると1人の男が声をあげて笑いだした。


「お前、おもしれぇ!」


豪快に笑う男から広がり、いつしか皆が笑っていた。


「時雨。気に入ったぞ!アーク!スゴイの連れてきたな!!!」


最初に笑い始めた男が私の頭をワシャワシャと撫でる。
いやいや、痛い痛い。


「俺は、ライ。いつでも頼れよ」

“頼れ”と言われたことがあまりなく慣れない言葉に戸惑いながらも頷く。
アークもそれを微笑みながら見守る。
ライ、が名乗り出てから次々と名前を言われるが、苦笑いをしながら彼らの名前を覚えようとするが、一瞬で覚えられるハズがない。小さくため息をつくと後ろから抱き締められた。


「――――!!」


思わず、投げ飛ばしそうになった。が、踏みとどまる。足に何十キロという負荷がかかりガクン、と膝が抜けた。


「!?ごめんなさい!思わず・・・・」


膝が抜けしゃがみこんでしまった私に抱き着いてきた“張本人”が申し訳なさそうに顔をのぞきこむ。