黒猫にご注意を



「ちょっと聞いてる!?」


不貞腐れたような声で2人に問うサクロ。そうなサクロに対して、

「はいはい、聞いてる。」

「聞いてるよ。」


面倒だ。という雰囲気を醸し出す2人を見て笑みをもらしてしまった。

――誰もその笑みに気づけなかったが、空気が和らいだのだけは確かだった。


アークが立ち上がり私の手をとり立ち上がらせる。フラフラとよろける私の腰に手を回ししっかりと支えてくれる。後ろでアルとサクロはそれを見て唖然としている。開いた口が塞がらない。とはこういうことを言うんだなと2人を気にしつつゆっくりと歩く。


「皆に時雨を紹介するから。」


アークがボソッと2人に呟く。それを聞いた2人は、あぁ。と納得した様子で私を見た。


***

――覚束ない足取りでフラフラと右に左に。支えられているのにも関わらずフラフラとしている初めて目にする子を見て微笑ましい気持ちを持ったアルとサクロ。


__あぁ、この子なら大丈夫だ


2人はアークとその子を見ながら確信した。時雨と交わした言葉は少なく、一緒にいる時間も数十分しかなかったのに“信じる”と言えるまでに信頼できたのは、時雨から感じる雰囲気とアークの時雨に対する優しさだろう。


***



キィ、と音をたてて木製の扉を開ける。少し歩けば人が沢山集まっている場所にでた。好奇の目が私を捉える。