暗く深い闇から白く小さなモノが舞降りる。




季節は冬。



ひらひらと。舞う雪を気にする人は無く。
下を向いて歩いて行く。
通行人はしっかりと防寒対策をして街を俯き気味に歩いて行く。


そんな中、一人の少女が立ち止まる。



闇よりも深い漆黒の長い髪を腰まで伸ばし風を受けてたなびく。
真っ白な肌は、雪よりも白い。




「・・・雪か。」


上を向いてヒラヒラと舞う雪を眺めている。




その少女を鬱陶しげに、でも何かするわけでもなく通声人は少女を邪魔そうにしながらよけていく。






そんななか、路に店を構えていた老婆が少女に声をかけた。



「手袋をしない貴方は何かを守ろうとしているのかしら。」

少女はマフラーをしコートは着ているものの手袋だけはしていなかった。
少女は老婆を見て近寄った。



「・・占い師のお婆さん。何故、そう思うの?」


“占い師のお婆さん”と呼ばれた老婆は確かに紫のベールで顔を隠し、淡い紫の服を身に纏っている。
少女が“占い師”と呼んだことは誰が聞いても頷くだろう。





「さぁ。何故かしらね。あたしの直感かしら。」


“占い師のお婆さん”はふふと、笑みを漏らす。


「そう」


少女はそう言って漆黒の髪を鬱陶しげに後ろへ流す。



「鬱陶しいなら切ればいいのよ。」

「・・・大切だったひとが好きだったの。」


少女は切なげに笑った。