そう。"あの山"のおかげで僕は兄貴に一歩追いついた。


だから"あの山"には感謝しなければならない。


けれど僕は今、"あの山"に一人の死体を埋めようとしているのが事実。


『―――・・・祢緒・・・』


僕は拓斗先輩の死体を運びながら涙を流し呟いていた。