翡波があたしの手をひいてガレージに出る。

 「俺となら歌いやすいんじゃない?」

何を根拠に翡波がそんなことを言ったのかはわかんないけど…。

あたしは気がついたら翡波のギターに合わせて歌っていた。

…気持ちいい。

歌うってこんなに気持ちよかったっけ?

 「…やっぱ上手いな。」

 「え?もう終わり?」

あたしは口を塞いだ。

思わず言ってしまった言葉を取り消そうとする。

 「いや、別にそんなんじゃなくて…
  。」

 「亜緒、お前さ。
  歌うの楽しいって思ったろ?」

郁月君があたしにそう言った。

郁月君が言葉を続ける。

 「気持ちよかったんじゃねぇの?
  歌ってみてさ。」

あたしはこの微妙な空気に耐え切れなくなって頷いた。

 「おめでとう、亜緒。
  お前は今日から軽音部の一員
  だ。」