翡波の顔がもっと赤くなる。

お前はトマトかっての…!

 「翡波、かーわーいーいー!」

そう言ってサトルが翡波のことをからかう。

 「うっせ!!」

翡波はそう吐いて突然立ち上がった。

 「どこ行くんだよ?」

 「便所だ、便所!!!」

…そんな大声で便所って言わなくても。

下品だよ、君。

 「アイツももっと素直になればいい
  のにな?」

 「だよね。」

サトルと顔を見合わせて笑う。

 「でも、少しはアイツも素直になった
  かな。
  軽音部入ってから。」

 「…そうなの?」

サトルが小さく頷く。

 「入学したてン時はめっちゃ無口で、
  いっつも1人で。
  軽音部入って変わったよ、翡波。」

 「本人は気づいてなさそうだけどね。」