「…樹乃…。」

あたしの目には真っ白い天井がうつった。

どうやらあたしは倒れて保健室に運ばれたみたいだ。

 「亜緒。」

樹乃があたしの手を握り締める。

 「…頼哉は!?」

そうだ…頼哉…。

頼哉はあたしのせいで…。

 「…病院で診てもらったよ。
  少し縫うみたいだったけど…。」

 「そっか…。」

なに安心してるんだろ?

頼哉が怪我したことに変わりはないじゃん…。

 「私、そろそろ教室行くね。」

 「あ、あたしも。」

 「…そうだね。」

樹乃がなにか言いたそうな表情をした気がする。

…やっぱり気のせいだよね?

 「…亜緒?」

 「あ、ごめん。」