「亜緒って歌上手かったんだな!」

 「そんなことない…。」

明日は編入試験だってのに振り回されっぱなしだったし。

あの後、あたしは空雅君にもう1曲歌わされて散々な目にあった。

 「あー…。
  もう空雅君には会いたくない。」

 「アイツはお前に会いに来ると思
  うよ。
  軽音部入れって!」

真瞬君は楽しそうだけど…。

 「迷惑だな…。」

 「でも…。
  俺も亜緒に入部してほしいな。」

 「え!?」

真瞬君まで何を言い出すんだ…。

 「男女のツインボーカルって珍しい
  じゃん。
  それにさ、俺と一緒にいられる時
  間も増えるんじゃない?」

なにそれ。

ズルすぎ…。

 「ひ、人前で歌えないし!
  あたしには無理!!!」

 「スカッとすると思うけどな。」

 「む、無理だから!!
  もう寝るね!」