何が彼女だよ…。

呆れちゃう。

 「高2?」

 「高1です。」

 「タメか!
  同じクラスだといいね!」

一応、小さく頷いてみせた。

 「さ、そろそろ始めよう。
  ソラ、いいか?」

 「おっけー。」

…軽いな。

 「んじゃ、郁月。
  頼むわ。」

郁月と呼ばれたキーボードの人は静かに頷いた後にキーボードに手を置いた。

流れるような綺麗な音色。

それにあわせて聞こえてくる女の人の歌声…。

…あれ?おかしい。

だって、歌ってるのは空雅君…。

 「空雅君はね、女の人の声でも男
  の人の声でも歌えるの。
  奇跡の歌声っていうんだって。」

真耶がそんなことを言った気がしたけど、あたしは耳に入ってこなかった。

歌に聴き入っていたからかもしれない。