「うん。」

あたしは深呼吸をしてみる。

澄んだ空気が体に染み渡っていく。

…気持ちいい。

 「何してんの。」

 「ちょっと空気をね。」

 「そうだな…。
  やっぱ空気はこっちがなまら美味
  い。」

 「なまら?」

なまらって…何?

 「ああ…なまらってのは…。
  お、タクシー発見。」

真瞬君がタクシーの方に走っていくので、「なまら」の意味を聞けずにいた。

 「すみません、札幌の…。」

 「はいよ。」

荷物を乗せて、タクシーは走り出した。

 「ねぇ、真瞬君。
  なまらって何?」

 「ん?
  めっちゃとかそんな感じ。」

 「なまら美味いとか?」

真瞬君は笑顔で頷いてくれた。