「亜緒。
  着いたぞ。」

 「…ん。」

あたしは飛行機の中で寝てしまったらしい。

最近、あんまり眠れてなかったからな…。

 「忘れ物ないよな?」

 「大丈夫。」

荷物を受け取って空港の外に出ると爽やかな風があたしの頬をなでた。

こんな言い方クサいかもしれない。

でも…本当なんだ。

 「うわぁ…。」

あたしは思わず声を漏らした。

 「ほら、空見てみろよ。」

真瞬君に言われてあたしは空を見上げた。

綺麗だ。

東京の空とは比べ物にならないくらい…。

同じ空でもこんなに違うなんて思わなかった。

 「綺麗…。」

違う世界にいるみたいだ。

 「さ、タクシー拾うか。」