「…出発かぁ。」

 「何?やっぱやめる?」

あたしがため息混じりにそう言うと真瞬君がそう言って笑った。

 「まさか。  
  でも…もっとちゃんとお別れしと
  けばなって。」

 「…へぇ。」

空港まで向かうタクシーの中であたしはケータイをカバンの中から出した。

樹乃からのメールがある。

 「何時の便で行くの?」

…見送りに来てくれようとしてたのかな…。

でも…。

ここは潔く…だよね?

今更…。

 「亜緒、飛行機って久しぶりだろ?」

 「う、うん。」

そう答えると同時にあたしはケータイを閉じた。

 「気圧で耳が…な。」

 「ああ…あれはね…。」