…まさか、こんなことになるなんて…。

また俺が舞うなんて思っていなかった。

久しぶりに立った舞台は相変わらず満員だった。

誰を観に来てるんだろうか?

…俺だろ?

そんなのわかってるよ。

俺が久しぶりに舞台に出るから。

面白がって観に来てるんだろ?

稽古だってしばらくやっていない。

入学してからずっとベースに絞ってきたこの俺が…またこんな形で舞台に立つなんてな。

笑えるよ。

…だから、舞う。

蝶だか蛾だか知らねぇけど…俺はそう呼ばれてたんだろ?

じゃあ舞ってやるよ。

桜吹雪だ。

…俺が蝶だか蛾ならリンプンみたいなもんだな。

あー…疲れた。

なんでだよ。

…まだ、体が覚えてた。